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『福の神はいない』  20 [研究]

「アンタは・・・いったい何者なんだッ?!」
市長と結の旦那は驚き戦いていた。

人間の力では到底動かせないだろうであろう岩、周辺の竹、を地割れをいとも簡単に起こさせて
次から次へと地中にあるものを根こそぎ引っこ抜き、“ひとつの道” をつくろうとしていた。

―ま、ボクもその一人かも。

 悪の中にも “善” と “悪” の両方が存在するように。

 キミ達が良く遣う "背信的悪意者" ってヤツ?

 たまに天邪鬼だろ、と間違われるけど、天邪鬼はボクとはちがうヤツだからそこんところ間違わないでね。

 ぼくはこの神無月神社の森を守る、神のような、見習い的な、ま、そんな感じだから。


まだ、このふわふわ宙を舞う不可解な青年の姿を信じられない眼で見つめ続けていた。
なかでも、結の旦那は特に何かを思い出すように記憶の糸を手繰っていた。

―さぁぁて。
 もうすでにお隣のお連れ様のご様子が優れないようですね?
 紳士殿。

「え・・・って、ぅうわぉッ!!し、市長、市長!!目を覚ましてください!!」

市長は、いつのまにか胸板まで溢れ返っていった新しい水流の水の上にプカプカ浮いた状態になり
すでに意識がなくなっている。

「お、おま、、お前!!なにしたんだ、市長に!!!」
周章狼狽する結の旦那を静かにさやかに笑いながら、静かに口元を開き始めた。
「君の返答しだいだな」
「なにッ・・・?!」
理解できない、という風に睨み続けていた。
「君は君で賞賛が必要だったんだろう?その男に尽くすことで。だけどそれはぶっちゃけ尽くし損ってわけだと思うのだが、最後の回答は君の選択に任せよう。三日月君。三日月クン。なんてね」
声色は青年なのか少年なのか幼児なのか分からなくなるぐらい淡い声で謳いだす森の神の青年。

「・・・」
市長の身体を揺らしてもなにも反応が何もない。
ゆり動かしていた右手がふと動きをピタリとやんだ。

ふわふわ浮いていた森の神の青年も "おや?" と眉毛を動かした。

「何かを思い出したのかな?・・・ま、博学な三日月クンならボクのことはもしかしたら知ってたのかもね
だけど入社して仕事するようになってから忘れちゃってたのかもね、僕 の 文 字」














■ 4



《其ノ社ニ住マウ宮守リ 出デ立チ急ギ際

際ヤカナリ 心高シ

アラハシv必定ナリ》


数々の散逸した紙の人型もそうだが、地震で多く社殿に派手に散らばってしまった古文書の中に
紗笑がいつか見たあの本の文字そのままがでてきた。

紗笑が見ていたページはもちろんそのあとの文献の記述後のその事後談のページでもあったが。
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